梅雨時に入りました。
中には気持ちのいい日もあるのですが、なんとなく肌寒かったり、湿気でべたべたしたり、過ごしづらい日も多いですね。
こんな時期の風邪は意外と長引きやすく、本格的な夏を迎える前にちょっと疲れてしまったりするものです。
先日、患者さんでまさに風邪をひいている方がいました。
症状などを聞いてみると、喉や咳が長引きつつあるけれど、もう菌やウイルスなどはいない感じでしたので、その方に漢方薬をお勧めすることに。
漢方というと皆さんどのようなイメージでしょう。
身体に優しい?効き目が穏やか?副作用が少なさそう?
一般的にぱっと浮かぶのはこの辺りでしょうか。
最近はドラッグストアでもそこそこの地位を得てきているように思えます。
さて、この漢方、イメージこそ多数の方の中にあるものの、どういったものか知っている方はあまり多くないのではないでしょうか。
かく言う私も、国家資格を取得するために学校に通うまでは、詳しくは知りませんでした。
西洋医学の薬が主に「症状を止めるためのもの」であるのに対し、漢方薬は「身体を本来の状態に戻す手伝いをするためのもの」で、「その人の体質に合ってないとまったく効果がない」ものです。
中医学では「体の『気』が足りない人」「『気』がありすぎる人」などというように、人をいくつものタイプ(これを証と呼びます)に分けて診ており、例えば『気』の足りない人には補充するための処方をし、そこにさらに五臓(図)や環境などを考慮して、それらを組み合わせて薬が処方されるわけです。
薬のセミオーダーとも言えます。
もちろん、西洋医学の薬も、使いどころによっては心強いものです。
ただ、例えば風邪の時の発熱や咳や鼻水、これらは身体が菌やウイルスを追い出すための反応なので、解熱剤や咳止めなどをやみくもに使用することはあまり感心できません。
感染症にはとにかく優秀ですし、「仕事で、どうしても今日1日を乗り切らねば!」という時などには頼もしいものですが。
現在よりもかなり虚弱だった昔の私は、風邪の時に様々な薬を試しましたが、いつもひどく長引きました。「症状を止める≠治る」ということを理解していなかったからです。
一般的によく知られている葛根湯、私は効果を感じたことがなかったのですが、中医学を学んで納得しました。
葛根湯は体力のあるタイプの人に効く漢方なのです。
私は「足りてない」証であり体力がなかったので、これを服用すると風邪がひどくなりました。
写真のものは現在の愛用の風邪薬ですが、これを使用するようになってからは「風邪の引きかけ」で治まる率が0割から7割へと飛躍的に上がりました。
勿論、全員にこれが合うわけではありません。体力のない人向けで、私の証には合っているのです。
証の判断は、本格的な漢方薬のお店に行くと、お腹を触ったり、手首で脈を診たりと色々しますが、今回はお店で買える漢方薬についてなのでそこは割愛。
最近は写真のように「○○な症状の方向け」と記載されているものが増えています。
○○な症状、というのがその人の証の特徴であるので、自分に一番近いものを判断して買えばいいでしょう。
かつての私のように、どの薬を飲んでもよくならないという方はもちろん、症状が長引いていて、病院では解決しない…という状態の方などはぜひ一度、試してみてください。